@misc{oai:nipr.repo.nii.ac.jp:00016855, author = {浅井, 博明}, note = {2018, 寒候期における低気圧の降水現象は、気温予報の精度によっては降雨か降雪か予報が極めて困難な場合がある。降雨予報が降雪となってしまった場合は、都市部で交通網が途絶えたり、農産物の高騰など社会的にも長期間の影響が残る。したがって、降雨/降雪の判別に影響する気温予報の向上は重要な課題である。本研究では、当初雨を予報していた期間にも雪となるなど雨雪判別が難しかった2016年12月23日の札幌市の大雪の事例を取りあげ、現象の理解と共に、現象に至るまでの予報値と解析値での総観場を考察し、予報精度向上に資する手法を検討することを目的とする。 まず、メソスケールでの予測可能性を調査するため、北海道西岸の低気圧について解析を行った。12月23日03UTCに最盛期を迎えたその低気圧は、中心に明瞭な目を伴い、暖気核を伴っていたことから、ポーラーロウの性質を帯びていたと考えられる。このポーラーロウの形成の違いが気温予報の誤差原因になるか調べるため、低気圧位相空間を用いて低気圧の性質を客観的に分類した。その結果、30時間前の予報値に比べ、解析値ではより軸対象性・暖気核の指標を強めていた。つまり、解析値では低気圧の中心と石狩地方を含む地域との温度偏差が大きく、周辺には相対的に冷たい空気が存在したことを意味する。次にこのポーラーロウの予測可能性を調べるため、全球アンサンブルモデルを境界条件としてメソアンサンブル予報を行った。札幌における大気下層の気温を予報できたメンバーは北海道西岸にポーラーロウが形成されていたが、気温予報を外したメンバーでは形成されていなかった。よって札幌の気温の予報精度はポーラーロウの予報精度に強く影響していることが分かった。このポーラーロウの発達要因を調べるため、2種類の感度実験を行った。その結果、海面からの熱フラックスの影響よりも、上昇流に伴う凝結の潜熱放出が低気圧の発達に寄与していることが明らかとなった。 さらに、総観スケールでの予測可能性を調査するため、太平洋沖の低気圧・高気圧について解析を行った。全球アンサンブルモデルをみると、対流圏上層のリッジに対応する負の渦位の予報に不確実性が大きかった。この負の渦位が大気下層の循環に与える影響を調べるため、PV -inversion解析を行った。その結果、太平洋沖の高気圧後面に位置する低気圧の前線に沿った、北海道地方への温度移流が支配的であることが分かった。渦位の予報の不確実性が大きい領域と、大気下層の気温予測の不確実性が大きい領域は一致することから、北海道地方での気温予測の不確実性は、総観スケールでの渦位予報の不確実性に起因していることが示された。 メソモデルは全球モデルを初期値・境界条件として引き継ぎ、決定論的予報として実行される。本事例は全球モデルに内在する不確実性をメソモデルが引き継ぎ、予報が実況を捉えきれなかった事例である。このような境界条件に大きな不確実性が伴う事例に対して、メソアンサンブル予報とメソモデルの決定論的予報との比較を行った。同一予報期間で比べた結果、メソアンサンブル予報の方が実況を捉えられた上、アンサンブルスプレッドで示される予報の信頼度情報を付加できることから、寒候期におけるメソアンサンブル予報の有用性が示された。}, title = {大雪をもたらす環境場の予測可能性研究 -2016年12月22-23日の札幌の事例-}, yomi = {アサイ, ヒロアキ} }