@misc{oai:nipr.repo.nii.ac.jp:00016441, author = {平田, 緑}, note = {2021, 北極域の生態系は、⼀般的に低緯度域よりも少ない種数から成り、栄養構造が比較的単純である。このため、高次捕食者の個体数の増減は、被食者には捕食圧という⾯で⼤きな波及効果をもたらすことが予想される。北極域において多数の個体が存在するニシオンデンザメ Somniosus microcephalus は、栄養段階が高い高次捕食者であり、北極域の生態系に大きなトップダウン調節の影響を及ぼしていることが示唆されている。この種は、生態学的に重要な役割を果たしている可能性があるにもかかわらず、自然界における採餌頻度等の海中での詳細な⾏動はほとんど知られていない。本研究では、ニシオンデンザメの海中での採餌行動を調べることを目的としてバイオロギングを用いた調査を行った。バフィン島(カナダ)のTremblay Sound において、4 個体のニシオンデンザメを捕獲した。サメの体の3 軸(左右軸、頭尾軸、背腹軸)の加速度と地磁気、深度、水温、および遊泳速度を計測するロガー(計測器)を装着し、放流から数日後にロガーを回収した。4個体中2個体からデータが得られ、それら両個体において、3 軸の加速度データを時系列表示した際に、単位時間当たりの加速度の振れが大きなイベント(加速度ピーク)がみられた。加速度ピークにおいて、加速度データから算出される体の向きや、遊泳時の尾びれを左右に振る行動の頻度と照らし合わせることで、採餌、もしくは採餌努力イベントと考えられる箇所を抽出することができた。また、加速度ピーク以外の期間においては、8 割以上の時刻において、データポイントごとの加速度の差分が 0 近辺の値をとり、ニシオンデンザメがゆるやかに遊泳していたことがわかる。ロガー装着・放流後の異常行動と考えられる時間を除くと、採餌行動を示唆する加速度ピークは合計 4.1日の記録中に3 回、つまり 1.3日に 1 回の頻度で見られた。先行研究から、このサメは低代謝で極域の低温環境に適応していることが示唆されており、採餌の頻度も低いと予想される。今回得られた結果は先行研究で述べられていたような活動性の低さを裏付けるものである。今回の方法で抽出された加速度ピークが実際に採餌行動を表しているのかは、後にビデオロガーを加速度・地磁気ロガーと共に装着し、正しく検証される必要性がある。しかし、今回の結果は自然界におけるニシオンデンザメの採餌もしくは採餌努力の頻度を考える⼀助になる可能性があると考えられる。}, title = {三次元加速度に基づくニシオンデンザメのファインスケール行動解析}, yomi = {ヒラタ, ミドリ} }